弁膜症に関する悩みには、人の数だけ考え方や向き合い方があります。
そんな悩みを、診断からその後までの流れに沿ってご紹介します。

監修
渡邉 雅貴
Masataka Watanabe
みやびハート&ケアクリニック 院長
病気についての質問
Q1
心臓弁膜症ってどんな病気ですか?
心臓には、血液の流れを調整するための4つの“弁”があります。 この弁が年齢や病気の影響で弱ったり傷ついたりすると、
- しっかり開かない(血液が通りにくい)
- きちんと閉じない(血液が逆流する)
といった状態になります。 これが「心臓弁膜症」です。 心臓ががんばっても、十分に血液を送り出せなくなってしまいます。
Q2
放っておくとどうなりますか?
息切れ、胸の痛み、めまい、失神などが出ることがあります。 そのままにしておくと、心不全につながることもあります。 症状をやわらげることはできますが、自然に治る病気ではありません。 早めに気づくことがとても大切です。
Q3
どんな検査がありますか?
検査は大きく2つあります。
- 体の診察:お話を聞く、体を見る、聴診器で心臓の音を聞く など
- 精密検査:心電図、心エコー(超音波)、胸のレントゲン、心臓CT など
これらの検査の多くは、痛みを伴わない“やさしい検査”です。 体への負担も少ないので、どうぞ安心して受けてください。
Q4
どんな治療がありますか?
- 軽症〜中等症で症状がない場合:定期的に様子をみます
- 軽症〜中等症で症状がある場合: お薬を飲みながら、悪くならないように定期的にチェックします。
- 重症の場合:手術が必要になることがあります
- 外科手術
- カテーテル治療(体への負担が少ない治療)
Q5
治療費は高いですか?
多くの治療は保険が使えます。 また、高額療養費制度を使うと自己負担を抑えられます。 状況によっては、 傷病手当金・身体障害者手帳・障害年金などの制度が利用できることもあります。 困ったときは、病院の患者相談窓口に気軽に相談してください。
弁膜症かも?と思った時の悩み
Q1
時々息切れ、胸痛やめまいがします。
年齢(とし)のせいにしていませんか?年齢のせいにすると、大きな落とし穴になることがあります。
「年齢だから仕方ない」と思ってしまう症状の中に、心臓弁膜症が隠れていることがあります。 気になる症状があるときは、早めに循環器内科で確認してもらいましょう。 早く気づくことが、元気に過ごすための第一歩です。
Q2
息切れ、胸痛やめまいなどの症状はありませんが、本当に弁膜症でしょうか?
症状があらわれないこともあります。
心臓弁膜症は、症状がなくても進むことがある病気です。 健康診断のときなどに、医師に聴診をお願いしてみましょう。 早めに見つけることで、安心につながります。
Q3
たいしたことはないともいますが、病気でしょうか?
自己判断は危険です。
心臓弁膜症は、心不全の原因になることがあります。 でも、心臓弁膜症は“治る”病気です。 そのためには、早く見つけて、早めに専門医に相談することがとても大切です。 気になることがあれば、遠慮せず受診してください。
Q4
手術に費用が掛かるのが気になります。
費用負担を和らげる制度があります。
治療の多くは保険が使えます。 高額療養費制度や、さまざまな支援制度があります。 ひとりで悩まず、病院の相談窓口にご相談ください。 使える制度を知ることも、安心への大切な一歩です。
診断時の悩み
Q1
何科を訪ねればいいですか?
循環器内科を受診してください。
循環器内科は、心臓や血管の病気を専門に診る科です。 心臓弁膜症の診断や治療も担当しています。 まずはここに相談してみましょう。
Q2
検査が多いのではと心配です
体の診察と精密検査があります。
診察では、話を聞いたり、聴診器で心臓の音を聞いたりします。 必要に応じて、心電図や心エコーなどの検査を行います。 どれも体への負担が少ない検査ですので、安心してください。
Q3
聴診で心雑音があると言われましたが、手術が必要ですか?
心雑音=手術にはなりません。
心雑音があるからといって、すぐに手術が必要になるわけではありません。 検査で状態を確認し、
- 軽い場合は経過観察
- 症状があれば薬で進行を抑える
- 重い場合は手術
といったように、状態に合わせて治療が決まります。
治療時の悩み
Q1
経過観察といわれました
継続受診が必要です
今は治療が必要なくても、病気が進むことがあります。 元気なときの心臓の状態を知っておくことも、とても大切です。 そのためにも、受診を続けてください。 主治医が、あなたの状態に合わせて受診の間隔を調整してくれます。
Q2
どの病院に行けばいいか悩みます
専門医が在籍し、専門性の高い治療が行える病院で受けるのが理想的です。
病院を選ぶときは、
- 専門医がいるか
- 自分の病気を専門としているか
- 希望する治療が受けられるか
- 実績があるか
- 医師と話しやすいか
などを参考にしてください。 安心して治療を受けられる場所を選ぶことが大切です。
Q3
治療方法はどれがいいですか?
医師からの説明と自身の希望を伝え、納得の治療を受けましょう
治療にはいくつか種類があります。 外科手術、カテーテル治療、体への負担が少ない手術などがあります。 医師の説明を聞きながら、自分の希望や生活に合った治療を一緒に選んでいきましょう。
Q4
機械弁と生体弁、どちらがいいですか?
医師からの説明と自身の希望を伝え、納得の選択をしましょう
どちらの弁にも良い点があります。 医師と相談しながら、あなたの生活や価値観に合う選択をしていきましょう。
Q5
手術に踏み切れません
手術が怖くてしかたありません
手術が怖いと感じるのは、自然なことです。 でも、心臓弁膜症は自然に良くなる病気ではありません。 適切な時期に治療を受けることで、元気に過ごせる可能性が広がります。 不安は遠慮なく医師に相談してください。
治療後の悩み
Q1
治療を受けたが、直ったという実感がない
手術前と同じになりません。
退院しても、体が落ち着くまでには時間がかかることがあります。 焦らず、ゆっくり回復していきましょう。 不安があれば、定期受診のときに相談してください。
Q2
手術が終わったので、もう病院には行かなくていい
退院したら、病院には行かなくても大丈夫ですよね
手術が終わっても、心臓の状態を見守ることが大切です。 生活習慣の見直しやリハビリも続けていきましょう。 退院後のケアが、これからの生活を支えてくれます。
Q3
心臓リハビリテーションを受けたい
入院中だけなく、退院後も可能です。
心臓リハビリは、運動だけでなく、生活習慣の改善や気持ちのサポートも含まれています。 外来や遠隔で続けられる場合もありますので、相談してみてください。
Q4
術前と同じように運動をしたい
医師に相談しましょう
手術の内容や回復の速さには個人差があります。 同じ運動に戻れる方もいます。 必要に応じて心肺運動負荷試験(CPX)を行い、無理のない運動の目安にすることもできます。