循環器病対策推進基本計画が閣議決定されました
2019年(令和元年)12 月に「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」(脳卒中・循環器病対策基本法)が施行されたことを受け、循環器病対策推進協議会で議論が進められ、本年8月に循環器病対策推進基本計画(案)が示されました。心臓弁膜症ネットワークでは、本基本計画案に対し、9月にパブリックコメントを提出しています(リンク)。10月27日に、本基本計画が閣議決定されました。
パブリックコメントの意見募集の結果についても公表されています。
今後とも私たちは、心臓弁膜症への理解促進や疾患をとりまく社会環境の改善にむけて、情報発信・提言など様々な活動に取り組んで参ります。
心臓弁膜症ネットワークより提出したパブリックコメントと、その結果について
心臓弁膜症ネットワークから提出した意見と、それに対して示された厚生労働省の考え方の部分を抜粋します。
※今回のパブリックコメントには62件の意見の応募があり、以下に示した意見の概要と考え方には、心臓弁膜症ネットワークから提出した意見のほか、他団体・個人からの意見も含まれています。また、意見は概要の形で記されていますのでご留意ください。
◆1.はじめに(p.1)で、心臓弁膜症等の具体的疾患名を明記し、患者を含む一般の人が理解できるよう「循環器病」の意味を明確化すること。(心臓弁膜症ネットワーク)
(意見)9 循環器病の定義や代表的な例示がなく、生活習慣病以外の慢性疾患などへの言及がない。
(回答)1.はじめににおいて、「循環器病には、虚血性脳卒中(脳梗塞)、出血性脳卒中(脳内出血、くも膜下出血など)、一過性脳虚血発作、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、心不全、不整脈、弁膜症(大動脈弁狭窄症、僧帽弁逆流症など)、大動脈疾患(大動脈解離、大動脈瘤など)、末梢血管疾患、肺血栓塞栓症、肺高血圧症、心筋症、先天性心・脳血管疾患、遺伝性疾患等多くの疾患が含まれる。」と追記しました。
(意見)28 弁膜症について記載していただきたい。
(回答)1.はじめにの循環器病の例示に弁膜症を追記した上で、(1)循環器病の予防や正しい知識の普及啓発に、「大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症などの弁膜症は、早期の症状には気づかないことも多い一方で、治療が遅れると予後が悪くなる傾向がある。」と追記しました。
◆2.循環器病の特徴並びに循環器病対策に係るこれまでの取組及び課題(p.3)、4.個別施策(1)循環器病の予防や正しい知識の普及啓発(p.11)、同(2)保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実①循環器病を予防する健診の普及や取組の推進(p.13)で、循環器病の原因として「加齢」を追記すること。
(意見)25 循環器病には、加齢が原因となる疾患もある。
(回答)2.循環器病の特徴並びに循環器病対策に係るこれまでの取組及び課題の(循環器病の特徴)に、「また、循環器病には生活習慣にかかわらず、先天性疾患、遺伝性疾患、感染性疾患、加齢などを原因とする疾患等、様々な病態が存在する。」と追記しました。
◆4.個別施策(2)保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実③救急医療の確保をはじめとした循環器病に係る医療提供体制の構築(p.15)で、かかりつけ医における心臓弁膜症が心不全へと重症化することを意識した診察実施のための施策推進、かかりつけ医等と専門的医療を行う施設との適切な連携に向けた具体的内容を明記すること。(心臓弁膜症ネットワーク)
(意見)26 医療従事者に対する教育の充実を図るべき。
(回答)③救急医療の確保をはじめとした循環器病に係る医療提供体制の構築の記述を、「体制の整備については、国、地方公共団体が医療機関、学術団体等と共働してデータに基づき、人材育成や適正配置を含めた取組を進める。」と修正しました。また、⑤リハビリテーション等の取組に、「患者が継続的にリハビリテーションを実施するためには、専門家を育成しつつ、地域の医療資源を含めた社会資源を効率的に用いて、多職種が連携して取り組む体制を構築する必要がある。」と追記しました。
(意見)27 かかりつけ医と専門的医療施設における、切れ目のない医療提供体制の確立が重要である。
(回答)③救急医療の確保をはじめとした循環器病に係る医療提供体制の構築に、「かかりつけ医等の日常の診療における循環器病診療に関するツールの活用等、かかりつけ医等と専門的医療を行う施設の医療従事者との連携が適切に行われるよう取組を進める。」と記載しており、引き続き、取組を進めてまいります。
(回答)⑩小児期・若年期から配慮が必要な循環器病への対策に、「小児から成人までの生涯を通じて切れ目のない医療が受けられるよう、他領域の診療科との連携や、移行医療を含めた総合的な医療体制の充実が求められている。」と追記しました。
◆4.個別施策【循環器病の診療情報の収集・提供体制の整備】(p.9)及び4.個別施策(3)循環器病の研究推進(p.23)で、データによる実態把握と早期発見、発症・重症化予防等の具体的施策例を明示すること。(心臓弁膜症ネットワーク)
(意見)32 より研究を充実させていく必要がある。
(回答)(3)循環器病の研究推進に記載しているように、引き続き、研究を推進してまいります。
「循環器病対策推進基本計画」について 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14459.html
「循環器病対策推進基本計画(案)」に係るご意見の募集の結果について
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495200200&Mode=2