基礎知識

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どんな検査?

公開日:2019年7月19日
院長 渡邉雅貴先生

心臓弁膜症の診断は、患者さんの症状を聞いたり心臓の音を聴診するなど、①体の診察に加え、心電図や心エコーなどの②精密検査を行った上で確定させます。

単に心臓弁膜症かどうかをみるのではなく、各種検査により重症度も明確にすることで、医師は適切な治療方針を考えることができます。

①体の診察

問診

息切れ、胸部の圧迫感や痛み、疲労、ふらつき、めまい、失神、運動困難などの症状の有無、症状が現れた時期、過去の病歴や飲んでいるお薬などについて聞きます。

問診の際は、ご本人にしかわからない自覚症状が重要なポイントになります。気になる症状や変化が少しでもあれば、遠慮なく医師に伝えましょう。

視診

顔色やむくみの有無などをみます。首の静脈の張り、おなかや足のむくみは、心不全の人によくみられる症状です。

聴診

心臓弁膜症に特徴的な心臓の「雑音」を、胸に聴診器を当てて確認します。心臓弁膜症の診断では欠かせない診察です。

同時に肺の音も聴き、肺に水が溜まるなど心不全の兆候がないかをチェックします。

触診

首の動脈に張りがないか触ってみたり、おなかや足を触ってむくみの有無や程度を確認します。

②精密検査

心電図検査

弁膜症のために心臓に負担がかかると、心臓の筋肉が肥大したり心臓自体が大きくなるほか、不整脈が起こることがあります。これらの異常を見つけるために心電図検査を行います。

心エコー検査(心臓超音波検査)

心臓と弁の動きを、画像で見ることができる検査です。心臓の弁の形や開閉の状態、狭窄や逆流の程度、心臓の大きさ、心臓の収縮する力などが分かります。心臓弁膜症の重症度も判断できる大切な検査です。

心エコー検査は簡便で再現性があり、繰り返し行えます。得られる情報量が多く、その一方で痛みなどの苦痛は伴わないため、患者さんの抵抗感が少ないというメリットもあります。ぜひ進んで検査を受けるようにしましょう。

イラストイメージ

胸部エックス線検査

心臓の大きさや形、肺のうっ血の有無、大動脈の異常などを調べます。

心臓CT検査

主に弁の石灰化の状態を知るために行います。

冠動脈造影、心室造影

太ももの付け根や手首などから、細い管(カテーテル)を入れて造影剤を流し、エックス線で撮影します。これで分かるのは、心臓に酸素や栄養を供給する冠動脈の異常や心臓の動きです。心室造影を行うと、心臓内と大動脈内の圧力を測定することもでき、心臓にかかっている負担の程度が分かります。

冠動脈造影、心室造影の図 冠動脈造影、心室造影の図

血液検査

貧血の有無や、肝臓や腎臓の機能、栄養状態など、全身の状態を把握するために行います。 心不全の重症度を判断する際の参考になる、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)という物質も測定します。

心臓弁膜症のセルフチェック

次の症状に1つでも当てはまる場合は心臓弁膜症かもしれません。早めにかかりつけ医に相談しましょう。

心臓弁膜症のセルフチェックリストの図

むねきこう(胸聞こう)

  • む(胸が痛む)

    胸に圧迫感や痛みを感じることがある

  • ね(年齢を感じる)

    今まで何ともなかった坂道や、通い慣れた道で息切れするようになった

  • き(気力がわかない)

    疲れやすくなった

  • こ(呼吸が苦しい)

    動悸がする

  • う(運動しづらい)

    体を動かすことがしんどく、以前よりも行動範囲が狭くなった

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