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【開催報告】健康ハートの日2024記念 オンライン勉強会を開催しました

心臓弁膜症ネットワークでは、健康ハートの日(8月10日)を記念して8月3日に勉強会イベントを開催し、17名の方にご参加いただきました。このイベントは、心臓弁膜症の治療の選択や生活をする際のヒントとなる情報を伝えることを目的に毎年開催しているものです。

今年は、当団体も連携会員として参加している一般社団法人日本循環器協会のウェブサイトで公開された「心臓弁膜症患者さんと意思決定者に向けた報告書」の翻訳版の制作に関わられた東京大学医学部附属病院の桐山皓行助教をお招きした勉強会を開催しました。

勉強会の内容はアーカイブ動画を後日公開予定です。公開になりましたらウェブサイトやSNSでお知らせいたします。
8/16アーカイブ動画を公開しました。こちらからご覧ください。

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◆開催概要

・日時:2024年8月3日(日)13時~15時

・場所:オンライン会議システムZOOM

・対象:心臓弁膜症と診断された方、手術を控えている方、手術後の方、家族、支援者、医療関係者、行政担当者等

 ・講師:東京大学医学部附属病院内科診療部門循環器内科 桐山皓行助教

◆後援:日本循環器協会

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◆内容:「あなたの望む治療をするために」~心臓弁膜症と歩む道のり~ 

※以下は勉強会の内容から一部抜粋したものです。詳細は動画アーカイブ公開後に動画をご覧ください。

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1.弁膜症に関する基礎知識

(1)弁膜症は大きく分けて8種類

(2)弁膜症の治療

・重症弁膜症は、原則劣化した弁に対する介入(手術・カテーテル治療)が必要。

・薬物治療はもちろん重要である。ただ、弁膜症の種類によるが、効果は限定的である。

・介入(手術・カテーテル治療)のタイミングが重要(症状が出れば原則介入)。

(3)多様な弁膜症の生涯管理

・弁膜症の一生の流れは、人それぞれのため、その人に合ったベストな管理をしてほしい

・医師に判断を任せるのではなく、一緒に管理を考えたい

2.「ペイシェントジャーニー」

(1)ペーシェントジャーニーとは病気の認知から発見、診断、治療、フォローアップまでを併せた生涯管理のこと

(2)症状の認知:まず、“この症状が弁膜症から来ているのかもしれない”と疑うことが重要

(3)弁膜症の発見:弁膜症の発見=聴診。かかりつけ医や健康診断での発見が多い。

(4)弁膜症の診断:弁膜症は、心エコー図検査を施行すれば、しっかりと診断をすることができる。

・心エコー検査をどこでやるか→開業医 or 専門病院

・心臓弁膜症が疑われる全ての人に、できるだけ早く適切な治療プロセスを開始できるよう、決められた期間内に心エコー図検査を紹介するべきである。

(5)弁膜症の治療:原則は①弁膜症に伴う症状があれば、介入を検討する。②原則「重症」で治療を検討する。③無症状でも、心負荷を示唆する心臓形態の変化があれば、介入を検討する。

・それぞれの症状と治療法の紹介

(6)弁膜症のフォローアップ:手術が、患者の治療の“終着点”ではない。

・手術を受けた後は、回復とフォローアップの段階に入る。

・介入後は、定期モニタリングを実施し、人工弁の劣化の可能性を確認するとともに、他の弁の疾患を早期に発見することが重要である。(年1回の心エコーのフォローアップ、患者の生活の質の定期的なフォローなど)

3.共同意思決定(シェアドデシジョンメーキング)について

(1)共同意思決定とは患者さんと医師が協力して、治療に関する意志を決定すること

(2)治療はガイドラインに沿って選択されるべきだが、ガイドラインでカバー出来ない部分もある。

・患者・家族の関心・背景・目標・価値観に沿って、最善の治療の決定を下すことで、より納得のいく治療を受けることが出来る。

(3)医師は、原則ガイドラインに沿って、それぞれの患者さんにベストの方法を提示する。ただ、他の方法についてもメリット・デメリットを併せてご説明し、その上で患者さんの希望に添える治療法を模索している。

4.質疑応答

(1)再発の不安に対する考え方や心理的な対応方法など

・定期的なフォローアップ・疫学データの調査(医師に聞く)、心理的対策としては、認知行動療法等の心理カウンセリング

(2)肺高血圧症と共通の問題や肺高血圧症患者にも参考になる点

・肺高血圧症も内服薬をベースとして病気と長く付き合っていく必要があり、弁膜症と同様のペイシェントジャーニーになる。病気の認知/発見/診断/フォローアップは共通だと思うので、本報告書を参考にしてほしい。一方、弁膜症と違う点は、タイミングを逃さない介入(手術・カテーテル治療)が少ない点。

(3)機械弁置換手術後の生活についてアドバイス

・ワーファリンの管理が重要。INRを適切に管理することが、機械弁の耐久性に直結する。また、定期的な心エコーのフォローアップは先述の通り重要。

(4)6月に弁置換の手術を終えた。術後から脈拍が常時100以上になり、外科の先生からはだんだん治っていくのではないかといわれたが、今の所変化がない。このまま様子を見ていて良いのだろうか?

・弁置換術後に脈が速くなるというのはあまり聞かないが、術後の影響か、不整脈かどうかでも変わってくるかと思う。心電図を再度確認し、その上で頻脈による症状があるのであれば、少量から薬物治療を始めてもいいかもしれない。

(5)生体弁、TAVI弁の耐用年数について、最近の研究事例について

・TAVI弁の耐用性は10年は保たれることが示されている。

・生体弁の耐用年数は年齢・大動脈弁か僧帽弁かで異なるが、60歳以上で平均20年程度持つと言われている。ここ最近はTAV in SAV/TAVという治療が出てきたため、生体弁の使用が増えてきている。

(6)セカンドオピニオンの必要性について

・弁膜症の治療方法は日進月歩であり、出来る治療も施設間で差がある。もし提示された治療以外の方法について聞きたいという事であれば、セカンドオピニオンは有用かもしれない。

(7)術式と病院選びについて

主治医との関係性は大事なので、主治医の選択した術式をまずは信頼してもらい、それ以外どういう術式があるのかを聞くなどして、さらにそれをセカンドオピニオンなどで聞いてみるというのがいいのではないか。

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これまでに開催した勉強会の内容やアーカイブ動画は当会のウェブサイトに掲載しています。

以下のURLよりご覧いただけますので、ぜひご覧ください。

https://heartvalvevoice.jp/news/benkyokai210929/

各勉強会のアーカイブ動画は心臓弁膜症ネットワーク公式YouTube(https://www.youtube.com/channel/UCDlP_lsZIYUFy1EGwNSqf0Q)でもご覧いただけます。


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