Global Heart Hub主催「Asia Pacific Cardiovascular Roundtable」に代表の福原が参加しました
45か国・160の患者団体が加盟する非営利の患者団体連合組織 Global Heart Hub(本部:アイルランド・ダブリン)が主催する「Asia Pacific Cardiovascular Roundtable」が、2026年2月27日、タイ・バンコクにて開催されました。
以下、福原からレポートが届いておりますので、ご報告いたします。
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本会議には、日本、中国、インド、インドネシア、タイ、マレーシアの6か国の患者団体リーダー、医療関係者、行政担当者等が集まり、循環器病に関する各国の課題と対策、そして地域全体として取り組むべき課題について議論が行われました。患者団体が果たし得る役割、直面する障壁、能力ギャップなども検討テーマとなりました。
日本からは以下の皆さまにご参加いただきました。
- 小室 一成 様(日本循環器協会 代表理事)
- 池亀 俊美 様(榊原記念病院 副院長・主任看護部長)
- 宿野部 武志 様(ピーペック 代表理事)
- 塚本 正太郎 様(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)
- 丸目 恭平 様(株式会社Doctock 代表取締役)
- 福原 斉(心臓弁膜症ネットワーク 代表理事)
また、本会を財政的に支援いただいた4社の製薬企業・医療機器企業からも参加があり、総勢約50名による国際会議となりました。
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国別セッション(日本)の議論
日本の現状を共有したうえで、以下の3つの課題に絞って検討を行いました。
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課題1:啓発
課題
- 市民・受診者の疾患認知が低い
- ASCVD(動脈硬化性心血管疾患)は概念が難しく、広報ノウハウも不足
- 関心を持ちにくく「自分事化」が進まない構造的課題
- 脳卒中・心臓病等総合支援センターの活用不足、学習・治療機会への接続にも課題
解決案
- 市民公開講座や啓発ツールに加え、エコー・ステントなど実物を用いた体験型啓発
- 循環器病アドバイザーの活用
- SNSの積極活用
- がん領域の「Delete C」キャンペーンを参考にした広報
- ウェアラブルデバイス(Apple Watch等)を活用した病院とのコミュニケーション改善
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課題2:予防
課題
- 「循環器病は予防できる」という認識が広がっていない
- 予防施策は保険予算がつきにくく、施策が不足
- 開業医に行動変容を促すインセンティブがない
- 特定健診の課題、健診データの二次利用が進まない
- 「生活習慣病」という名称が自己責任のスティグマを生む
解決案
- PHR(Personal Health Record)の規格統一、利用
- 「生活習慣病」の再定義(NCDは一般に分かりにくい)
- 国民の声を可視化し、政策予算につなげる
- 「突然死のリスク」を啓発メッセージに含める
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課題3:患者団体の基盤強化
課題
- 資金不足(寄付・事業収入の不安定さ)
- 運営基盤の脆弱性
- PPI(患者・市民参画)のノウハウ不足
- 医療者側の患者団体への理解不足
- 学会と市民の間でPPIに対する温度差
- SNS等による情報収集の多様化で従来型患者会モデルが変容を迫られている
解決案
- 患者リーダー・当事者の育成
- 疾患横断的なノウハウ共有
- アンブレラ組織(複数団体を束ねる組織)の形成
- ロールモデルの提示
- 学会の市民への開放
- レイサマリ(一般向け要約)やレビューの活用による参画価値の明確化
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午後セッション: ライブサーベイと討議
スマートフォンを用いたライブサーベイを実施し、以下のテーマを深掘りしました。
- 患者団体に対する認識、直面する課題、果たせる役割
- 各国の循環器病対策の課題、患者団体が持つべき機能・スキル、協働可能な分野
当日の議論内容はGlobal Heart Hubが取りまとめ、今後のロードマップとして参加者に共有される予定です。
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参加しての所感
これまでも患者・当事者の会には参加してきましたが、今回のように多様なステークホルダーが集まり、患者・患者団体の視点を中心に据えて議論する場は初めての経験でした。患者・市民参画の意義と重要性が、多くの参加者に伝わった会であったと感じています。これが始点となり、今後もこのモメンタムが継続していけるよう患者・当事者団体のひとつとして関わっています。
心臓弁膜症ネットワーク
福原 斉
会議終了時にそれぞれの団体のロゴの前にて、参加者全員で記念写真
会場にて日本チーム 写真左から、塚本様、福原、池亀様、宿野部様、小室様、丸目様